IP case studies判例研究

平成23年(行ケ)第10211号「データストリームフィルタリング装置及び方法」事件

名称:「データストリームフィルタリング装置及び方法」事件
審決取消請求事件(拒絶審決取消請求)
知財高裁:判決日24年11月27日、平成23年(行ケ)第10211号
判決:請求認容
キーワード:引用例2の認定の誤り
[概要]
審決における引用例2の認定が誤りであり、それを前提とした相違点4及び6に係る判断は誤
りであるとして審決が取り消された事案である。
[審決]
本願発明は,特開平11-215146号公報(引用例1)記載の発明(引用発明1),特開
2000-32029号公報(引用例2)記載の発明(引用発明2)及び周知技術に基づいて,
当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を
受けることができない。
[原告の主張]
審決の引用例2の認定は誤りであり,この誤った認定を前提とする相違点4及び6に係る判断
は誤りである。
審決は,引用例2について以下のように認定した。「バーチャルLANシステムに適用される
複数グループ一括中継方法において,バーチャルLAN情報は,宛先MACアドレスフィールド
を用いて,中継装置(1)に伝送され,かつ前記バーチャルLAN情報に設定されるバーチャル
LAN情報フィールドを有する最初のフレームの受信に応答して登録される方法。」しかし、引
用例2の「宛先MACアドレス」とは,フレームを中継装置1に伝送する(宛てる)ための中継
装置1のMACアドレスではなく,通信先の装置のMACアドレスである。中継装置1が,バー
チャルLAN情報を含むフレームを受信するのは,送受信部11-1にフレームが届いたからで
ある。フレームの宛先MACアドレスは中継装置1のMACアドレスではないのだから,フレー
ムの宛先MACアドレスを見て,受け取るかどうかを判断しているわけではない。言い換えると,
フレームの宛先MACアドレスは,フレームを中継装置1に宛てるために用いられてはいない。
したがって,審決の上記認定は誤りである。
[裁判所の判断]
裁判所は、引用例2の認定について以下の通り判断し、審決を取り消した。
「・・引用例2に記載された発明においては,局から送信されたフレームは,局に接続されたネ
ットワークと,このネットワークが接続されたポートとを介して中継装置で受信され,この中継
装置で中継されて,上記フレームの「宛先MACアドレス」で指定された通信先の装置に送信さ
れること,言い換えれば,局から送信されるフレーム中の「宛先MACアドレス」は,最終の宛
先となる装置のMACアドレスであり,上記フレームを上記中継装置に伝送するために用いられ
る上記中継装置のMACアドレスではないことが明らかである。そうすると,引用例2に記載さ
れている発明は,「バーチャルLAN情報(本願発明の「フィルタタグフィールドの値」に相当
する。)は,宛先MACアドレスフィールド(本願発明の「アドレスフィールド」に相当する。)
を用いて,中継装置(1)(本願発明の「フィルタリングノード」に相当する。)に伝送され(本
願発明の「宛てられ」に相当。)」るものとは認められない。したがって,審決の引用発明2の
認定は誤りである。」

平成23年(行ケ)第10211号「データストリームフィルタリング装置及び方法」事件

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