審決取消請求事件 » 平成25年(行ケ)第10065号「Raffine Style」事件

名称:「Raffine Style」事件
平成25年(行ケ)第10065号 審決取消請求事件
知的財産高等裁判所第3部
判決日:平成25年12月18日
判決:審決取消
関連条文:商標法4条1項11号
キーワード:類否判断

[概要]
本件商標と引用商標とは非類似、とした特許庁の審決の取消を求めた事案。

[本件商標] [引用商標]
本件商標:

指定商品:化粧品

[審決の概要]
(1)本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,本件商標は商標法4条1項11号に該当し
ない。
(2)本件商標を指定商品に使用しても,取引者・需要者がその商品の出所について混同するお
それがあるということはできず,本件商標は商標法4条1項15号に該当しない。
(3)本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,「不正の目的」の有無を検討するまで
もなく,本件商標は商標法4条1項19号に該当しない。
(4)本件商標は,それ自体が公の秩序又は善良の風俗を害する構成のものとはいえず,その出
願経過に社会的妥当性を欠く事情があったともいえないから,本件商標は商標法4条1項7号に該当
しない。
(5)よって,本件商標権の指定商品中「化粧品」についての登録は,商標法46条1項の規定によ
り無効とすることはできない。

[裁判所の判断]
1.取消事由1(本件商標と引用商標が類似すること)について
(1)本件商標と引用商標との類否
「Raffine」という語は,フランス語で,語尾にアクセント記号を付した「raffi
e」が「精製された,洗練された,気のきいた,上品な,凝った」などの意味を有する形容詞(白
水社「仏和大辞典」参照)であるが,我が国において一般的に知られた語ではなく,そのため,
「Raffine」や「ラフィネ」は,その外観や称呼がかえって取引者や需要者に独特の印象
を与えると認められる。
これに対し,「Style」という語は,英語で「やり方,流儀,方式,…流,…式,構え,
態度,様子,風采,でき,格好,形,文体,表現法,様式」などの意味を有する名詞(研究社「リ
ーダーズ英和辞典」参照)であり,これを片仮名で表記した「スタイル」が「すがた,風采,格
好,様式,型」(岩波書店「広辞苑」第6版参照)などの意味を有する外来語として広く用いら
れるなど,我が国においては一般的に知られた語であると認められる。
そして,「Style」の語は,これを特定の商標と組み合わせて,「○○流」や「○○様式」
などの意味合いで「○○Style」のように用いられることは周知の事実であり,この場合に
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は,「○○」商標と同じ商品や役務の出所を表示するものとして用いられているものと認められ
る。
したがって,本件商標に接する取引者及び需要者は,専ら「Raffine」の部分が商品や
役務の出所を表示する出所識別標識であり,「Style」の部分には「…流」「…様式」とい
う意味合いがあるにすぎず,それのみでは出所識別標識とはいえないものと認識するのであり,
結局,本件商標は,「Raffine」を主たる出所識別標識とする商標と認識されるものと認
められる。
なお,本件商標中の四つ葉マークについては,四つ葉マーク自体はありふれた模様であるから
出所識別標識としては弱いこと,同マーク内の文字部分は,「Raffine/Style」の
文字部分に比べて相当に小さく表記されているものであり,またそもそも「私たちは心からのく
つろぎを愛する。」と訳されるものであり,商品や役務の出所を表すのではなく専ら被告の企業
ないし業務の理念を表しているにすぎないことなどからすると,四つ葉マークは,全体として出
所識別機能が弱い図形商標にすぎないものと認めるのが相当である。
そして,本件商標の「Raffine」の部分と引用商標とを比較すると,外観については,
両者は字体や大文字・小文字の使用箇所においては相違するものの,同一のフランス語の単語で
ある「raffine」から採られたもので,同じ綴りであることからすればほぼ同一であると
いうことができ,また,いずれも一般的には,ローマ字読みで「ラフィネ」という称呼が生じる
点で同一である(なお,フランス語の「raffine」の語は,「ラフィネ」と発音される。)。
そうすると,我が国において一般的に知られた語ではないことから,必ずしも特段の観念が生じ
るとはいえないことを措いても,両者はほぼ同一というべきである。
よって,引用商標は,本件商標とその出所識別標識となる部分において,外観及び称呼におい
てほぼ同一であり,全体としても類似するものと認められる。
(2)被告の主張について
・・・本件商標は,「Raffine/Style」と四つ葉マークから成り,ひとまとまり
の商標として認識されるものであるものの,本件商標のうち主たる出所識別機能がある部分は前
記説示のとおり「Raffine」の部分であり,本件商標は,この出所識別機能のある標章部
分において,引用商標と称呼及び外観においてほぼ同一であることも前記説示のとおりである。

[参考]
使用権者の不正使用による取消審判(商標法第53条)の審決に対する審決取消請求事件
平成25年(行ケ)10042号、10043号、10044号
※原告は、第3類「化粧品」他を指定商品・指定役務とする被告の登録商標「Raffine S
tyle/ラフィネスタイル」等を使用したバナー広告が、原告の(後願)登録商標に類似し、
原告の業務と混同を生ずるものであるとして、使用権者の不正使用による取消審判(商標法53
条)を請求したが、不成立とされた。審決取消訴訟においても審決が維持された。

[コメント]
本件に関しては、原告の登録商標「RAFFINE」が被告の「Raffine/Style」
と類似すると判断され、原告の勝訴となった。しかし、「RAFFINE」と「Raffine
/Style」が類似であるとするならば、原告の登録商標は、被告の先願商標との関係におい
て無効理由を有する蓋然性が高い。実際、平成25年(行ケ)第10042~10044号では
「先願主義からすれば,被告の本件商標を引用商標として商標法4条1項11号の無効理由を内
包する登録商標(引用商標)を使用している原告を過度に保護する結果となる」と判断されてお
り、これらの裁判を通じて原告は不利な立場にたたされることとなった。商標の無効審判、不正
使用取消審判等を請求する場合は、自己の登録商標が不利な立場にならないよう、慎重に検討す
べきである。
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