審決取消請求事件 » 平成25年(行ケ)10328号「端面加工装置」事件

名称:「端面加工装置」事件
審決取消請求事件
知的財産高等裁判所:平成 25 年(行ケ)10328 号 判決日:平成 26 年 5 月 15 日
判決:請求棄却(審決維持)
特許法第29条第2項
キーワード:進歩性、引用発明の認定、相違点の認定、相違点の判断、動機付け

[概要]
原告は、発明の名称を「端面加工装置」とする被告の特許について無効審判を請求したと
ころ、特許庁が請求不成立の審決をしたことから、その取消しを求めた。

[裁判所の判断]
・甲1発明と本件特許発明との相違点の認定
① 切断ないし破断したボルトが、本件特許発明では「トルシアボルト」であるのに対し
て、甲1発明では「切断したボルト9」である点
② 省略
③ 本件特許発明の装置は金属粉収集機構を有しているのに対して、甲1発明の装置は金
属粉収集機構を備えていない点

・相違点①に対する判断
証拠によれば、トルシアボルトは周知なものであると認められる。しかし、甲1発明は、
加工の対象を眼鏡に用いられるボルトとするものである。これに対し、トルシアボルトは、
鋼構造建築物の構築に用いられるものであり、その用途は甲1発明とは大きく異なっている。
そうすると、甲1発明におけるボルトに代えてトルシアボルトとすることを当業者において
容易に想到することができるものとは解されない。
甲1発明のねじ部装着具6が本件特許発明のナットに相当するとした場合,甲1発明の切
断したボルト9に代えてトルシアボルトを適用するならば,面取り加工においてねじ部装着
具6で固定する際,ねじ部装着具6によりピンテールを破断しかつ面取りを行えることを前
提としたとしても,その締め付け力を所定値に規制することはできるものの,面取り加工の
後にねじ部装着具6を取り外して別途のナットで固定する際には,ピンテールは既に破断済
みであるため,その締め付け力を所定値に規制することはできない。この観点からみても,
甲1発明における切断したボルト9に代えてトルシアボルトを適用する動機付けがあるとは
認められない。

・相違点③に対する判断
甲1発明は、面取りするボルトのねじ部をねじ部装着具6のねじ孔64に螺合して挿入穴
部62内に突出させ、挿入穴部に挿入した面取り加工具7の先端部72に形成された面取り
部73で面取りを行うものであるから、面取りにより生じた金属粉はねじ部装着具6の外に
は飛散しない。そうすると、甲1発明においては切削等により生じる金属粉が周囲に飛散す
ることを防止するという課題が見いだせないから、甲2公報に記載された円筒状のカバーを
組み合わせる動機付けが存在するとみることはできない。

[コメント]
相違点に係る構成は周知ないし公知と認められたが、主引例(甲1発明)の用途や構成な
どから、それら相違点に係る構成を適用する動機付けが見出されないと判断された。進歩性
の判断において、動機付けの有無を検討するうえで参考になる。