審決取消請求事件 » 平成23年(行ケ)10127号「旋回式クランプ」事件

名称:「旋回式クランプ」事件
審決取消請求事件
知的財産高等裁判所:平成 23 年(行ケ)10127 号 判決日:平成 24 年 2 月 29 日
判決:請求不成立(審決維持)
特許法第41条
キーワード:国内優先権

[概要]
原告は、被告からの特許無効審判請求に基づく請求項1ないし3に係る原告の特許を無効
とする審決に対し、その取消しを求めた。

[本件発明3]
【請求項1(本件発明1)】
(省略)・・・ことを特徴とする旋回式クランプ。
【請求項2(本件発明2)】
請求項1に記載した旋回式クランプにおいて、
(省略)・・・ことを特徴とする旋回式クランプ。
【請求項3(本件発明3)】
請求項1または2の旋回式クランプにおいて、
前記の旋回溝(27)を螺旋状に形成し、その旋回溝(27)の傾斜角度(A)を10度
から30度の範囲内に設定した、ことを特徴とする旋回式クランプ。
【請求項4(本件発明4)】
請求項1から3のいずれかの旋回式クランプにおいて、
(省略)・・・ことを特徴とする旋回式クランプ。

[審判の判断(無効理由6に関して)]
1)本件発明3について
優先1・・・優先2・・・優先3・・・において・・・具体的な角度の値は記載されていない。また,
他に旋回溝の傾斜に関する記載はなされていない。よって,本件発明3の旋回溝の傾斜角度
に関する限定事項は,基礎出願の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技
術的事項ではなく,本件特許の明細書の段落【0020】に・・・記載の新たな効果を奏するか
ら,本件発明3の出願日は,現実の出願日である,平成14年10月10日である。
・・・本件発明3に記載された構成部分の判断基準日,すなわち29条の規定の適用について
の基準日は,実際の出願日である平成14年10月10日である。
2)本件発明4について
・・・本件発明3を引用する本件発明4についても,29条の規定の適用についての基準日は,
実際の出願日である平成14年10月10日である。
3)本件発明1及び2について
・・・本件発明1及び2は,旋回溝の構成を有するものであり,本件特許の現実の出願日であ
る平成14年10月10日付けの願書に添付された明細書によって,その角度を特定したこ
とにより,前述のように新規事項を含むことになるから,特許請求の範囲の請求項1及び2
に記載された発明の要旨となる技術事項が,先の出願の当初明細書及び図面に記載された技
術的事項の範囲を超えることになることは明らかである。
・・・したがって,本件発明1及び2の,29条の規定の適用についての基準日は,実際の出
願日である平成14年10月10日である。

[裁判所の判断(無効理由6に関して)]
そうすると,本件発明1,2では,ガイド溝の傾斜角度に関する特定はされていないから,
上記傾斜角度に関する本件発明3の発明特定事項である「傾斜角度を10度から30度の範
囲にした」との事項が第1ないし第3基礎出願に係る明細書(図面を含む。)で開示されてい
ないからといって,本件発明1,2が上記事項を発明特定事項として含む形で特定されて出
願され,特許登録されたことになるものではない。この理は,例えば請求項3(本件発明3)
が特許請求の範囲の記載から削除された場合を想定すれば,より明らかである。したがって,
本件発明1,2(請求項1,2)の特許請求の範囲の記載に照らせば,旧特許法41条1項
にいう先の出願「の願書に最初に添付した明細書又は図面・・・に記載された発明に基づ」
いて特許出願されたものといい得るから,本件発明1,2については原告が優先権主張の効
果を享受できなくなるいわれはなく,特許法29条の規定の適用につき,最先の優先日(平
成13年11月13日,第1基礎出願の出願日)を基準として差し支えない。