侵害差止等請求事件 » 4b O81/12 (ドイツデュッセルドルフ地方裁判所)「コーヒー抽出システム」事件

名称:「コーヒー抽出システム」事件
特許権侵害差止等請求事件
デュッセルドルフ地方裁判所:4b O 81/12 判決日:2012 年 8 月 16 日
判決:請求棄却
ドイツ特許法第10条第1項第2項
キーワード:間接侵害,消尽論

[概要]
カプセル抽出装置とカプセルからなる抽出システムの特許を有する原告が、原告の製造販
売するカプセル抽出装置に使用できるカプセルを販売する被告に対して間接侵害であるとし
差止を請求し、裁判所は消尽論を根拠に請求を棄却した事件。

[特許請求の範囲]
カプセルを抽出する装置と、前記装置で抽出することができるカプセル(16)とを有する抽
出システムにおいて、
カプセル(16)が、フランジの形態の案内縁部を有しており、前記装置は、
固定されている第1の部分(2)と、
第1の部分に関して可動である第2の部分(3)とを有し、この第2の部分が、カプセルを収
容するための収容部(4)を含んでおり、前記収容部は、前記固定部分に対して可動部分が閉鎖
位置にあるとき、前記収容部の軸(25)を中心としてカプセルの抽出位置を画定する、第2の
部分と、
カプセルの案内手段(6、7)を有する挿入と位置決めをするための部分であって、該案内手
段は、カプセルを重力によって挿入可能であるとともに当該カプセルを中間位置で位置決め可能
であるように配置されており、案内縁部が案内手段(6、7)によって把持され、前記案内手段
が、前記フランジとの係合を可能にする挿入用のスライドレールである、挿入/位置決め部分と、
飲料吐出システム(19、53)とを有しており、
前記第2の可動の部分(3)は、中間位置のカプセル(16)が前記装置の閉鎖時に抽出位置
へスライド可能であるように設計されている装置において、
案内手段(6、7)はブロック手段(20)を有しており、該ブロック手段は、抽出位置での
カプセルの軸(25)に対して変位した中間位置でカプセル(16)を保持するように設計され
ており、中間位置のときにフランジがブロック手段に当たること、および、第2の可動の部分(3)
が、カプセルをセットされて、これを中間位置から軸(25)に沿ってカプセルの抽出位置へと
前記収容部(4)の中で移動させ、それにより、可動の部分が運動中にカプセルに作用してこれ
を降下させ、このときカプセルのフランジがブロック手段(20)の下を通り抜け、カプセルは
前記可動の部分の軸(25)に沿って抽出位置へと押し出されることを特徴とする装置。

[イ号の構成]
イ号はフランジを有するカプセルであり、原告のカプセル抽出装置に専用である。

[裁判所の判断]
特許法第10条1項の意味における発明の本質的要素に関わるとされるのは、当該手段が、権
利保護される発明思想の具体化にあたって、特許請求の範囲の1つまたは複数の構成要件と機能
的に協働作用するのに適している場合である。発明の技術的教示にとって完全に副次的な手段は、
発明の非本質的要素であると見なすことができる。
このカプセルが一般に市場で入手できる製品であり、それによって特許法第10条2項の例外
規定が適用されるかどうかは未確定。
いずれにせよ購入者には本件発明を実施する権利があるという理由からして、すでに間接的な
特許侵害が成立しない。本件発明に対する処分原告の権利は、C型マシンの売却によって消尽さ
れている。(すなわち、消尽説により侵害を否定した。)
訴訟対象のカプセルをC型マシンで使用することは、特許権で保護される装置の用途に即した
使用であって、法律の意味における新規創出にはあたらない。
原則として、機械の耐用寿命のあいだに場合により複数回取り換えなくてはならないのが通常
である部品の交換は、通常、新規創出ではないと考えられる。取得者は、一緒に納品された交換
部品(本例では一緒に納品されたカプセル)だけで、提供された装置を使用できるわけではない
ことを予期できるからである。
カプセルは機能面では、発明の他の要素(案内手段、ブロック手段、可動の部分とそのカプセ
ル収容部)と協働作用をする。しかし、このような発明の本質的要素との機能面での協働作用は、
間接的な特許侵害のために必要な要件であるにすぎず、部品の交換を新規創出としての位置づけ
るのに十分な条件ではない。
カプセルは、発明思想の本質的部分を体現するものではない。フランジを有するカプセルは、
たとえば・・・で十分に公知となっていたものである。
特許の教示はいかなる形においても、このようなカプセルの構成や形状を改良することを対象
とするものではない。
カプセルの観点からして本件発明にとって本質的な別の構成を規定しているという処分原告の
主張も、当部は採用しない。・・・すなわち、フランジは圧縮することができる程度に柔軟でなけ
ればならず、・・・。請求項1には、カプセルのフランジがどれほど柔軟に構成されていなければ
ならないかについて、いかなる詳細な指定も含まれていない。
処分特許がカプセルの構成に関して、発明の要部にとって本質的な事項をなしていないことに
変わりはない。フランジが柔軟であるという選択肢は、1つの実施例の構成に関わるものにすぎ
ず、特許請求の範囲の事項に関わるものではない。

[コメント]
クレーム上はカプセルの特徴はなにも限定されておらず、課題を解決するための構成は、
装置の構成により具現されている。結論は妥当であると思われる。日本の場合もドイツと同
様に消尽説を適用できるのではないか。

[参考]
ドイツ特許法第 10 条(間接侵害の規定)
(1) 特許は,特許所有者の同意を得ていない第三者が,当該発明の本質的要素に関連する手段
をその発明の本法の施行領域内での実施のために,本法の施行領域内で,特許発明を実施す
る権限を有する者以外の者に提供又は供給することを禁止するという更なる効力を有するが,
ただし,当該手段がその発明の実施に適したものであり,かつ,そのように意図されている
ことを,当該第三者が知っているか又はそれが状況からみて明白であることを条件とする。
(2) (1)は,その手段が一般的市販品である場合には適用されないが,ただし,当該第三者が提
供を受ける者に対して第 9 条第 2 文によって禁止された行為を誘発する場合は,この限りで
ない。