IP case studies判例研究

平成24年(行ウ)第591号「ヘテロアリールピペラジン誘導体」事件

名称:「ヘテロアリールピペラジン誘導体」事件
行政処分取消義務付け等請求事件
東京地方裁判所民事第29部:
判決: 請求一部認容
行政事件訴訟法第 3 条第 4 項、第 3 条第 3 項、第 3 条第 2 項、第 3 条第 6 項第 2 号
キーワード:行政不服審査法による異議申し立て、異議申立ての却下決定の取消し
[概要]
特許査定がなされた内容が、予め審査官と出願人との間で合意した内容とは異なるものであり、
審査官に手続上の義務違反があったことが理由となって、特許庁に対してなされた行政不服審査
法による異議申し立ての却下決定に対して、行政事件訴訟法に基づく却下決定の取消し等が認め
られた事例
[特許査定された特許請求の範囲]
下記化学式1で表される1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘ
テロピペラジン誘導体又は薬剤学的に許容可能なそれらの塩。
化学式1
前記化学式1において・・・R1はフッ素であり、R2は、塩素であり、R3は、・・・・」
[出願人と審査官との間で合意された特許請求の範囲]
下記化学式1で表される1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-
(ヘテロピペラジン誘導体又は薬剤学的に許容可能なそれらの塩。
化学式1
前記化学式1において・・・R1はフッ素であり、R2は、水素原子、C1-C3アルコキシ、
C1-C3アルキルまたは塩素であり、R3は、・・・・」
[主な争点]
(本案前の争点)
(1) 本件特許査定の取消義務付けの訴えの適法性
(2) 本件特許査定の取り消しの訴えの適法性(関連:特許法195条の4)
(本案の争点)
(1) 本件特許査定についての無効事由の有無
(2) 本件特許査定についての取消事由の有無
(3) 本件却下決定についての取消事由の有無(上記(1)および(2)のそれぞれの場合につ
いて)
(4) 本件特許査定の取消しの義務付けの成否
[裁判所の判断]
(本案前の争点)
(1)本件特許査定の取消義務付けの訴えの適法性はなく却下。理由:特許庁審査官に対し、特
許査定の取消しを求める旨の申請又は審査請求について定めた法令はなく、原告らが上記申請又
は審査請求をした事実も認められない。
(2)本件特許査定の取り消しの訴えの適法性は認められる。特許法第195条の4にいう行政
不服審査法による不服申し立てをすることができないとされる「査定」については、審査官の手
続き違背があると主張される場合の特許査定は含まれない。
(本案の争点)
(1)本件特許査定についての無効事由があったとまでは言えない。
(2)本件特許査定についての取消事由が存在する。本件補正書に係る補正は、拒絶理由に対応
しないものであり、原告らの真意に基づき作成されたものとおよそ考え難いことは、担当審査官
に明白であったと認められる。担当審査官には手続き上の義務違背があったものと認められる。
(3)本件却下決定についての取消事由が存在する。被告は、特許法第195条の4および行政
不服審査法第4条第1項に違背し不適法であるとして、本件異議申し立てを却下したものである
が、特許法第195条の4にいう査定に、審査官の手続違背を理由とする不服申し立ての場合の
特許査定は含まれない。

平成24年(行ウ)第591号「ヘテロアリールピペラジン誘導体」事件

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