IP case studies判例研究

平成24年(ワ)第14905号「傾斜測定装置」事件

名称:「傾斜測定装置」事件
特許を受ける権利帰属確認請求事件
知的財産高等裁判所: 平成24年(ワ)第14905号 判決日: 平成25年5月16日
判決:請求棄却
特許法35条1項
キーワード:職務発明
[概要]
原告が被告の子会社において在職中に行なった発明が、職務発明であるか否かが争われた
が、当該発明が職務発明であるため、特許を受ける権利の帰属が被告にあると判断された事
案。
[争点]
本件各発明が職務発明に当たるとすれば、原告の特許を受ける権利は本件発明考案規定に
よりテクノリサーチ社に承継されたことになる。本件の争点は、本件各発明が職務発明であ
るか、いわゆる自由発明であるかである。
[裁判所の判断]
本件各発明がその性質上テクノリサーチ社の業務範囲に属し、かつ、本件各発明をするに
至った行為がテクノリサーチ社における原告の職務に属すると認められれば、本件各発明に
ついて特許を受ける権利は原告からテクノリサーチ社へ承継されたことになる。
被告との業務委託契約によりテクノリサーチ社が行うとされた業務は、ドラフトサーベイ
に関する業務の厳正化に向けた改善活動の推進を内容とするものであった。
事実関係によれば、本件各発明は、ドラフトサーベイをより正確かつ簡便に行うことので
きる傾斜測定装置の発明であり、テクノリサーチ社が被告の委託を受けて行っていたドラフ
トサーベイの改善業務と直接関連するものであるから、その性質上、テクノリサーチ社の業
務範囲に属すると認められる。
原告は、テクノリサーチ社の従業員としてドラフトサーベイの改善業務に従事しており、
その問題点を指摘して改善案を提示することが期待されていたのであるから、ドラフトサー
ベイを正確かつ簡便に行えるようにするための装置を発明することは、その職務に含まれる
と評価することができる。
そうすると、本件各発明は職務発明に当たるから、本件各発明について特許を受ける権利
は、本件発明考案規定に基づき、遅くとも本件各発明の特許出願がされた平成22年1月4
日までに、原告からテクノリサーチ社に承継されたと認められる。
原告の主張に対しては、ドラフトサーベイを行えるのが上記許可を受けた者に限られるこ
とと、ドラフトサーベイに関する業務の改善を図り、これに用いる装置の発明を行うことは
別問題であって、許可を受けていない者が、ドラフトサーベイそれ自体を行うのではなく、
その改善活動に携わり、装置の発明をすることが妨げられることはないと解される。
[コメント]
特許を受ける権利の帰属に関して、「職務発明」であるか否かが争われた珍しい事例である。
従業者等が行なう発明には、「職務発明」の他、会社の業務と関係のない「自由発明」と、会
社の業務範囲に属する発明であっても職務発明でない「業務発明」とがある。
本件発明は、その性質上、使用者等の業務範囲に属し、かつ、本件各発明をするに至った
行為が使用者等における原告の職務に属すると認められた結果、職務発明であると判断され
ている。

平成24年(ワ)第14905号「傾斜測定装置」事件

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