• 「ニュースレター第31号」(2019年10月)
    • R1.8.27判決 最高裁 平成30年(行ヒ)第69号「局所的眼科用処方物」事件

       本件特許に係る発明(本件発明)の進歩性の有無に関し、本件発明が予測できない顕著な効果を有するか否かという観点から十分に検討することなく、本件発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定して、本件審決を取り消した原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ないとして、原判決を破棄し、原審に差し戻した事例。

    • R1.7.18判決 知財高裁 平成30年(行ケ)第10145号「海生生物の付着防止方法およびそれに用いる付着防止剤」事件

       甲1ないし3、5に接した当業者は、過酸化水素と有効塩素剤とを組み合わせて使用する甲1発明には、有効塩素剤の添加により有害なトリハロメタンが生成するという課題があることを認識し、この課題を解決することを目的として、甲1発明における有効塩素剤を、甲2記載の二酸化塩素に置換することを試みる動機付けがあるものと認められるから、相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたものと認められるとし、進歩性を有するとした審決を取り消した事例。

    • H31.3.5判決 大阪地裁 平成28年(ワ)第7536号「薬剤分包用ロールペーパ」事件

       請求項1において「薬剤分包装置」の構成を詳細に特定しつつ「・・・薬剤分包装置に用いられ」と特定した用途限定が、用途そのものでなく、用途に適する「ロールペーパ」の構造等の特定であると解釈された結果、当該「薬剤分包装置」に使用していない被告製品についても、本件発明の技術的範囲に属する(侵害成立)と判断された事例。

    • R1.5.22判決 東京地裁 平成28年(ワ)第14753号「ネジおよびドライバビット」事件

       食い付き部分は本件発明の構成要件とは関係のない付加部分というべきものであり、被告製品が食い付き部分を有するかどうかは本件発明の構成要件の充足性を左右しないとして、食い付き部分を有する被告製品であっても本件発明の技術的範囲に属すると判断された事例。

    • R1.6.18判決 東京地裁 平成29年(ワ)第31572号「鞄」事件

       原告が販売する鞄の形態が周知の商品等表示であることを理由に、前記形態と同一又は類似の形態の鞄を販売する被告の行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たるとして、差止め及び損害賠償を認めた事例。

  • 「ニュースレター第30号」(2019年6月)
    • R1.6.7判決 知財高裁特別部 平成30年(ネ)第10063号「二酸化炭素含有粘性組成物」事件

      1 特許法102条2項の規定における「利益の額」とは、侵害者の侵害品の売上高から、侵害者において侵害品を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であるとし、控除すべき経費及び推定覆滅事由についても一定の判断基準・考慮事情を示した事例。 2 特許法102条3項の規定において、特許権侵害をした者に対して事後的に定められるべき、実施に対し受けるべき料率は、むしろ、通常の実施料率に比べて自ずと高額になりうることを考慮したうえで、実施に対し受けるべき料率の算定において合理的に総合考慮すべき諸事情等についても示した事例。

    • H31.3.19判決 知財高裁 平成30年(行ケ)第10036号「IL-17産生の阻害」事件

      引用発明との相違点に係る、「IL-17産生を阻害するための」との用途について、その下流の炎症性疾患(例えば乾癬)に用いられる点では一致しており公知であっても、IL-17濃度の上昇が見られる患者群に対して選択的に利用される点で、新規性がありかつ容易想到でもないと判断された事例。

    • H30.12.6判決 知財高裁 平成30年(行ケ)第10041号「地殻様組成体の製造方法」事件

      非特許文献である引用文献には、単に下水汚泥焼却灰等の処分に向けた方針、及び有識者の意見が断片的に記載されているにすぎず、ひとまとまりの具体的な技術的思想は記載されていないため、審決が認定した引用発明が記載されているとはいえないと判断された事例。

    • H31.3.13判決 知財高裁 平成30年(行ケ)第10076号「豆乳発酵飲料及びその製造方法」事件

      明細書からは、4つの相違点に係る構成を組み合わせ、一体のものとして採用したことで、タンパク質成分等の凝集の抑制と共に、酸味が抑制され、後に残る酸味が少なく後味が優れるという効果を奏するものと把握することはできないため、上記の各相違点を1つの相違点として認定することはできず、さらには、官能評価試験の結果は、客観性ないし信頼性を備えた実験結果であると認められない等として、進歩性を否定した審決を維持した事例。

    • H30.12.20判決 東京地裁 平成28年(ワ)第4759号「導光板」事件

      均等侵害の成否の判断のために発明の本質的部分として従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分を認定するに当たっては、拡大先願発明も参酌すべきものと解するのが相当であるとし、その結果、本件発明の本質的部分が特許請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定され、被告製品が均等の第1要件を充足しないとされた事例。

    • H30.12.21判決 東京地裁 平成29年(ワ)第18184号「骨切術用開大器」事件

      進歩性欠如の拒絶理由を解消するために補正で追加した発明特定事項のうち、一部のみが、発明の本質的部分と認定された結果、本件発明に対する被告製品の異なる部分が、当該補正で追加した発明特定事項に含まれているものの、特許発明の本質的部分ではないとして、被告製品は、均等の第1要件を充足すると判断され、さらに、本件発明の特許出願手続きにおいて、当該異なる部分の構成を特許請求の範囲から意識的に除外したと認めることはできないとして、被告製品は、均等の第5要件も充足すると判断された事例。

    • H30.11.20判決 知財高裁 平成30年(ネ)第10031号「下肢用衣料」事件

      1 特許法102条2項の損害額の推定において、特許権者が当該特許発明を実施していることは要件とはならず、特許権者に、侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には、特許法102条2項の適用が認められると解するべき、と判断された事例。 2 特許法102条2項による損害額の推定に基づき侵害者に対し特許権の共有者の一部が損害賠償請求権を行使するに当たっては、同項に基づく損害額の推定は、不実施に係る他の共有者の持分割合による同条3項に基づく実施料相当額の限度で一部覆滅されるとするのが合理的である、と判断された事例。

    • H31.3.14判決 大阪地裁 平成30年(ワ)第4954号「TeaCoffee」事件

      図形とTeaCoffeeの文字からなる原告登録商標の「TeaCoffee」の部分は原告商標の要部ということはできないとして、原告登録商標「図形+TeaCoffee」と被告標章「TEA COFFEE」は非類似と判断された事例。

  • 「ニュースレター第29号」(2019年2月)
    • H30.10.17判決 知財高裁 平成29年(行ケ)第10232号「ステーキの提供システム」事件

      ステーキの提供システムに関する発明についての発明該当性が争われ、前記発明は、課題を解決するための技術的手段を有するため、全体として「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとして、特許取消決定が取り消された事例。

    • H30.12.26判決 知財高裁 平成30年(行ケ)第10022号「タイヤ」事件

      刊行物1におけるE-SBRとシリカとの組み合わせにおける阻害事由の存在の主張、及び本願発明における高用量のシリカを採用することについての技術的意義の主張がいずれも否定され、当業者がE-SBRと高用量のシリカとを組み合わせることに想到できないとは認められないとして、進歩性を否定した審決が維持された事例。

    • H30.5.24判決 知財高裁 平成29年(行ケ)第10081号「引戸装置の改修方法」事件

      明確性要件の判断をする際に出願経過その他明細書に現れない事情を斟酌することは、かえって特許が付与された権利範囲を不明確にしかねないものといわざるを得ず、そのような事情を考慮することは相当ではないとされた事例。

    • H30.10.29判決 知財高裁 平成29年(行ケ)第10191号「細胞分離方法」事件

      本願発明者が所属する学会の構成員等が本願発明の当業者に該当すると認定したうえで、明細書等から一義的に定まらない「中間水」の量の算出方法は、出願前の発明者の学会での受賞により学会の構成員には広く知れ渡ったものであるから、当業者の技術常識であると認定し、かかる技術常識に基づいて、中間水の量の算出方法は当業者が明確に理解することができると判断された事例。

    • H30.12.18判決 知財高裁 平成29年(ネ)第10086号「美肌ローラ」事件

      侵害訴訟の被告が無効審判請求を行い、審決取消訴訟を提起せずに無効不成立の審決を確定させた場合には、同一当事者間の侵害訴訟において同一の事実及び同一の証拠に基づく無効理由を特許法104条の3第1項による特許無効の抗弁として主張することは、特段の事情がない限り、訴訟上の信義則に反するものであり、民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないとされた事例。

    • H30.12.27判決 東京地裁 平成29年(ワ)第22543号「ランプシェード」事件

      照明用器具である被告商品の販売行為が、ランプシェードを指定商品とする立体商標に係る商標権の侵害に当たるとして差止め及び損害賠償を認めた事例。