侵害差止等請求事件 » 平成20年(ワ)10819号「粉粒体の混合及び微粉除去装置」事件

名称:「粉粒体の混合及び微粉除去装置」事件
特許権侵害差止等請求事件
大阪地方裁判所:平成 20 年(ワ)10819 号 判決日:平成 25 年 2 月 1 日
判決:請求棄却
特許法70条、特許法101条2号、4号、5号
キーワード:技術的範囲、間接侵害、進歩性

[概要]
イ号製品については構成要件Fを備えず、直接侵害はないと判断されたが、ロ号製品(イ
号製品は部品に相当)に組みこまれれば要件を充足し、間接侵害が成立すると判断された事
例。

[特許請求の範囲](**太字は争点)
【請求項1】(本件特許発明1)
・・・(略)・・・粉粒体の混合及び微粉除去方法
【請求項2】(本件特許発明2)
A 排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと,
B-1 該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と,
B-2 この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とか
らなる供給管と,
C 該供給管に接続された一時貯留ホッパーとからなり,
D 前記流動ホッパーの出入口は,前記供給管のみと連通してあり,
E 前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置
に,前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを,該吸引空気源
を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなることを特徴とする
F 粉粒体の混合及び微粉除去装置

[被告の主張]
「混合」の解釈
複数の異種材料を混ぜ合わせることをいうものであり,1種類の材料を微粉除去のために
攪拌・流動させることは含まない。当該装置内において複数の異種材料を混ぜ合わせること
をいい,すでに混合された材料をホッパー装置内で攪拌・流動させる場合も含まない。
→樹脂材料を収容したホッパーと横向き管とが連通して設置されていない部品にすぎず,
「粉粒体の混合及び微粉除去装置」ではない。(構成要件EおよびF)
一時貯留ホッパーを有しておらず,構成要件Cを充足しない。

[裁判所の判断]
(1)混合の解釈(結論:技術的範囲に属さない)
辞書等から・・・「混合」についても,2つ以上の異なった性質の材料を混ぜ合わせること
をいうものと一応解される。本件明細書を子細に検討しても,「混合」の意義について,上記
と異なるものと解すべき記載は見当たらない。

原告が「混合」に含まれると主張する4つの場合のうち③ 同一材料について,粉砕した材
料とバージン材が混合される場合及び④ バージン材と他の異種材料が混合される場合は含
まれるものの,① 同一材料について,材料が空気と混合される場合と,② 同一材料につい
て,前回混合した材料と今回投入された材料が混合される場合(単に,同一材料が追加され
て攪拌,流動される場合)は,含まれないと解される。

本件各特許発明における「混合」とは,材料供給源から供給される複数の材料を「混合ホ
ッパー」(流動ホッパー)内において混ぜ合わせることをいう。ホッパーに輸送される前の時
点で複数の材料(異種材料)が一旦「混合」がされていた場合にも,混合ホッパー内におい
て,新たな材料の追加がなくても撹拌又は流動がされる以上,「混合」を含む構成要件を充足
すると解するのが相当である。

イ号製品は,それ自体としては材料供給源に接続されていないから,複数種類の材料を対
象とすることを前提とした装置であるとまでは認めるに足りず,同一材料の微粉除去にのみ
用いることが可能な構成のものである(当事者間に争いがない)。そうすると,少なくとも本
件特許発明2の構成要件F「粉粒体の混合及び微粉除去装置」を充足するとは認めがたい。

(2)間接侵害
(a)イ号、本件特許発明1、特許法 101 条 4 号(不成立)
複数種類の材料を対象とすることを前提とした装置ではなく,同一材料の微粉除去にのみ
用いることも可能→「のみ」の要件を満たさず、成立しない。

(b)イ号、本件特許発明2、特許法 101 条 2 号(成立)
イ号製品の延伸部(47)は,一時貯留ホッパーの用を果たしているということができるだけ
でなく,前記1-2のとおり,一時貯留ホッパーを延伸部に置き換えることによる均等侵害
の要件についても,これを認めることができる。

当該発明が新たに開示する,従来技術に見られない特徴的技術手段について,当該手段を
特徴付けている特有の構成ないし成分を直接もたらす,特徴的な部材,原料,道具等が,「発
明による課題の解決に不可欠なもの」に該当するものと解される。
→「供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に,
材料の充填レベルを検出するためのレベル計を設けてなること」
→イ号はレベル計(70)を備えている。

「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは,典型的には,ねじ,釘,電球,
トランジスター等のような,日本国内において広く普及している一般的な製品,すなわち,
特注品ではなく,他の用途にも用いることができ,市場において一般に入手可能な状態にあ
る規格品,普及品を意味するものと解するのが相当である。
→イ号製品の構成を備えたホッパーが,日本国内において広く普及している一般的な製品
又は市場において一般に入手可能な状態にある規格品,普及品であることを認めるに足りる
主張立証はない。

被告は,平成19年11月14日時点では,本件特許発明2が原告の特許発明であること
及びイ号製品がその発明の実施に用いられることを知ったものと認めることができる。
被告の行為のうち,イ号製品を生産し,譲渡し及び譲渡の申出をする行為について同号の
間接侵害が成立する。

(c)イ号、本件特許発明1、特許法 101 条 5 号(成立)
上記と同様に成立する。

(d)ロ号、本件特許発明2(結論:技術的範囲に属する)
イ号製品単体では上記「混合」の用途を常に有しているとはいえず,他の装置と組み合わ
せて用いられる場合で,これを充足するときに限り,本件特許発明2の技術的範囲に属する
ものと認めることができる。

ロ-1-1号製品の構成g1は,ホッパー装置と連通する材料供給管の入り口にオートセ
レクタ(80)を有し,手前の乾燥機(51)や粉砕機(52)から供給される相異なる樹脂材料を
ホッパー装置(イ号製品)に供給する材料供給装置であるから,イ号製品と組み合わせられ
ることにより,ロ号製品は,ホッパー装置(イ号製品)において,相異なる樹脂材料を混合
する装置である。

その余のロ号製品の各構成gについても,ホッパー装置に連通する材料供給管の手前に,
複数のタンクやホッパー等があり,これらから,複数の相異なる樹脂材料が供給,混合され,
混合済みの相異なる樹脂材料をホッパー装置(イ号製品)に供給する材料供給装置である。
→本件特許発明2の構成要件E及びFを充足する。
(e)ロ号、本件特許発明、特許法 101 条 4 号(成立)
成立する。