名称:プチホルダー事件

損害賠償等請求事件

東京地裁:平成19()19275    判決日:平成2074

判決:請求棄却

不正競争防止法2条1項3号、著作権法

 

概要

 動物のぬいぐるみと小物入れを組み合わせた「プチホルダー」というシリーズ商品の一つの小物入れにプードルのぬいぐるみを組み合わせた製品を販売していた原告が、類似の製品を販売した被告を訴えた事件。

争点

(1) 被告商品は原告商品の形態を模倣したものか、(2) 原告商品の形態は商品の機能を確保するために不可欠な形態であるか、(3) 被告は被告商品が原告商品を模倣したものであることにつき善意かつ無重過失であったか、(4) 原告商品は著作権法により保護される著作物に当たるか、等が争点になった。

 争点(1)の商品形態の模倣については、模倣性は認定され、争点(2)の商品形態については、機能確保のために不可欠ではないと認定されたが、争点(3)の被告商品が原告商品を模倣したものであることについては、無重過失であると判断され、請求が棄却された。

争点(3)についての裁判所の判断

@商品の仕入れは,仕入れ担当部門のバイヤーが,多数の企画提案の中から決定して行っており、1年間に取り扱う商品数が約12万点,企画提案の数も極めて多数に及ぶものと推測されるから、仕入れに当たり,商品の企画や生産の過程に関与することはなく,被告は商品の選定、販売数量及び価格等の決定のみを行っていたものと認められる。

A膨大な数量の商品すべてについて,その開発過程を確認し,形態が実質的に同一である同種商品がないかどうかを調査することは,著しく困難である。

B原告商品は,これまでの販売金額が合計約19万円,販売数量も合計330個にとどまり,宣伝,広告もウェブページや商品カタログに写真が掲載されている程度で,一般に広く認知された商品とは認められない。

⇒従って,被告が商品を購入するに当たり,取引上要求される通常の注意を払ったとしても,原告商品の存在を知り,被告商品が原告商品の形態を模倣した事実を認識することはできなかったものというべき。商品の形態の模倣を知らなかったことにつき重大な過失はなかった。

 

 原告は、被告のバイヤーであるXと名刺交換をし,原告商品が掲載されたカタログ等を交付し,その後も毎年カタログを送付していたこと,平成15年の東京ギフトショーにおいてプチホルダーが審査員特別賞を受賞し,業界誌に掲載されたこと等から,形態を模倣したことにつき重大な過失があると主張。

⇒Xは,被告商品の仕入れ担当部門のバイヤーではないこと,名刺交換から被告商品の販売開始まで約4年が経過し,その間,被告が原告商品の購入を具体的に検討した形跡は認められないから,これらの事情のみでは,被告が原告商品の存在を認識できたとはいえない。またプチホルダーが審査員特別賞を受賞した際,原告商品は一般に販売されていなかったこと等によれば,一般に広く認知された商品とは認められないから,これらの事情で被告の悪意,重過失を基礎付けることはできない。

 

<コメント>

 同一形状ともいえる商品を販売していたのに悪意、重過失がないと判断されて請求が棄却された珍しい事例である。悪意、重過失の認定において参考になる。しかし、これほど似ている商品を単なる偶然と見てよいのか疑問が残る。一見して興味を引く商品は頭に残るものと思われるから、製作会社を被告にすべきであったのではないか。