知財高裁 平成19(行ケ)10341号 審決取消請求事件(審決取消)

 キーワード:商標法第53条第1

 

事件の概要

 原告は、被告の保有する本件商標(登録第4137882号)に対して、商標法第53条第1項に基づく取消審判を請求をしたところ、特許庁が請求不成立の審決をしたことから、その取消しを求めた。

 

審決の認定

 「商標使用許諾契約書」(甲第2号証)によれば、被告が岐阜武に対して登録第4345622号商標に係る「メンズアダルトアウター類」について使用を許諾したことが認められるが、当該契約書では本件商標について何ら言及されていない。

 「見解書」(甲第4号証)によれば、被告と岐阜武との間に一定の意図をもった行為があったことが窺えるものの、あくまで第4345622号の商標に関するものに限られており、岐阜武と本件商標を結びつける証拠は存在しない。

 被告と岐阜武との間において、本件商標についての使用許諾契約が、明示的にせよ黙示的にせよ、締結された事実を推認するには足りないというほかなく、岐阜武が本件商標の通常使用権者であると認めることはできない。

 

裁判所の判断

 使用商標Aの構成は、本件商標を構成する図形の色彩を反転させた上、「USABEAR/アズエーベー」商標の「USABEAR」の文字部分と組み合わせてなるものであり、このことは、被告と岐阜武の共通の認識であったものと認められる。

 そして、岐阜武が使用商標Aを使用し得るというためには、「USABEAR/アズエーベー」商標について使用許諾を受けたのみでは不十分であり、本件商標についても使用権限を取得する必要があるものというべきところ、このことに、本件商標に係る商標権をパスクベアカンパニから被告に移転する手続の準備中である旨が見解書に記載されており、現に見解書の作成の直後にその旨の移転登録申請がなされていること、また、本件仮処分申立事件や取消2001-31307号事件において、被告及び岐阜武は、使用商標Aの図形部分をなす本件商標が被告の登録商標である旨を主張しているが、この主張は、本件商標の商標権者である被告が岐阜武にその使用を許諾しているとの趣旨を含むものとして理解しなければ、意味をもたないことを併せ考えれば、被告と岐阜武との間には、被告が本件商標に係る商標権を取得したときと同時に、又はその後間もなく、本件商標についての使用許諾契約が明示的又は黙示的に締結されたものと推認することができる。

 見解書の記載内容や本件仮処分申立事件における被告及び岐阜武の主張内容を含む各事実を総合すれば、被告と岐阜武との間に、本件商標についての使用許諾契約が明示的又は黙示的に締結されたものと推認することができる。

 審決が「岐阜武が、本件商標の通常使用権者であると認めることはできない」とした認定判断は誤りであるというべきであり、この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、審決は取消しを免れない。

以上